「スパン」

gakus2004-06-06

 LAのヤク中たちのトコトン、情けない日常を描いた「スパン」(6月下旬公開)の話。

 いや、ホントに情けないほどのダメ人間ばかり。野良犬気取りさえできない、ダサい連中。停滞している生活から抜け出そうともせず、ドラッグの調合に失敗して部屋を吹き飛ばしたり、自分を捨てた恋人と“今もつきあっている”と電波的に言いふらしたり。それでも憎めないのは、そういう停滞にあぐらをかいて楽をしたがる部分が、自分の心の中に潜んでいるからかもしれない。

 元スマッシング・パンプキンズ、元ズワンのビリー・コーガンがアコギでスコアを作っている。初スコアとなった「スティグマータ」ではメジャースタジオの意向にそぐわなかったとかで、確か1〜2曲ぐらいしか劇中では使用されていなかったが、その点、ここでのスコアは文句なしに良い。寂れた感が程よく効いていて、メランコリックなボーカル曲も妙味。サントラが発売されていないことが、何とも残念だ。

 そのコーガンや、デビー・ハリー、ロブ・ハルフォードなどのミュージシャンが劇中でチラリと顔を見せているのも、ロックファンには面白い。ミッキー・ロークにゲイ呼ばわりされ、殴られるハルフォードは、ちょっとかわいそうかも。

 写真は、スウェーデンギターポップ・バンド、CAESARS PALACE(現在はCAESARS/シーザーズと改名)のアルバム『LOVE FOR THE STREETS』。とても大好きな一枚。「スパン」ではKISS等、あまたのロックチューンが使用されているが、マイナーなこのバンドの『JERK IT OUT』の起用には、ことさら反応してしまった。アメリカン・インディーズムービーであるこの映画で、なぜスウェーデンのさほどメジャーでない曲が…? と思ったら、監督がスウェーデン出身の方でした。パンプキンズ『TRY TRY TRY』のビデオを撮った人とのこと。


SPUN/スパン [DVD]

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