カーク艦長ご乱心

gakus2004-10-07

 歌う俳優が、また一人。「スター・トレック」のカーク艦長役でおなじみのウィリアム・シャトナーがCD『HAS BEEN』(写真)を発表。1968年に一度レコードを出してるようなので、これが2枚目となる。

 問題のその内容。ペン・フォールズ/BEN FOLDSが全曲プロデュースしていることからも、音楽的に気合が入っているのは一目瞭然だが、シャトナーはほとんどの曲で語りを聴かせるだけで、歌は歌わない。いわばセルジュ・ゲンズブール路線で、確かに渋い雰囲気はあるんですけどね。一方で、曲をバックに誰かと延々口ゲンカを聴かせたり…とコミカルな路線も狙っている模様。

 ぜひふれておきたいのは、PULP『COMMON PEOPLE』のバカ・カバー。オリジナルよりも速いテンポでチープなエレポップ・ビートが鳴り響き、シャトナーが歌詞をボソボソと語りだし、この調子で続くのかな…と思いきや、2番目の歌詞の盛り上がる部分で、いきなりゲスト参加のジョー・ジャクソン/JOE JACKSONのシャウトが重なり、オリジナルと同様にどんどんヒートアップ…。始まりからクライマックスまでの、この間の抑揚の振り幅のデカいこと。テンポが速いぶん後半はかなりパンキッシュで、カーク艦長もメロディー無視でシャウトしまくる。笑えるんだけど、妙にかっこいいんですよ、これが。

 個人的には、久々にジョー・ジャクソンのボーカルも聴けて得した気分。『I'M THE MAN』を発表したころのニューウェーブ時代をほうふつとさせる熱唱でした。