アイ・アム・アナザー・サム

gakus2005-04-19

 「ミスティック・リバー」でアカデミー賞を受賞して以来となるショーン・ペンの新作が相次いで公開される。ひとつは実話に基づく人間ドラマ「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」(6月公開)、もうひとつはポリティカル・サスペンス「ザ・インタープリター」(5月公開)。

 片や妻に逃げられ、片や妻に逃げられた上に先立たれるというキャラクターで、人生つまづきっぱなしの体現を得意とする(?)ペンのキャラに合っている。とりわけ、前者は仕事も家庭生活もままならず、“マジメに生きてるのに不幸なのは、すべて大統領のせい"とばかりに暗殺を企てる不器用な男の愚直な感情が表れていて、逆ギレとはいえちょっと共感をおぼえた。

 どちらもロックは聴けないが、「リチャード・ニクソン…」では、大好きな作曲家であるレナード・バーンスタイン宛に心情を吐露する主人公のモノローグが全編にかぶさる。美しい音楽とは対照的に、汚れ切った世界。やるせない…。

 「リチャード・ニクソン…」でペンが演じるのは、またしてもサムという名。そんなわけで「アイ・アム・サム」までさかのぼって音楽ネタを。ご存じのとおり、全編にビートルズがフィーチャーされるこの映画。ミシェル・ファイファーふんするヒロインが、“ビートルズのメンバーではジョージがいちばん好き”と言ってるにも関わらず、ジョージ・ハリスン作のナンバーが1曲もかからない。これは初めて観たときから疑問だったが、DVDの特典映像を見て納得。製作中にジョージはガンで入院してしまい、許可をとるためのコンタクトがとれなかったとのこと。ジョージの曲が使われるとしたら、何だったのだろう…とあれこれ空想をめぐらのすのもお楽しみである。

 ジャケは、ジョージ・ハリスンビートルズ〜ソロ期にまたがるアップル時代のナンバーを総括した編集盤『The Best of George Harrison』。選ばれていたとしたら、この中からだろなあ…。

ザ・インタープリター [DVD]

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