こんな村いやだー

gakus2005-04-28

 スポーツ至上主義国、アメリカの一断面が垣間見える新作を2題。ひとつは「プライド/栄光への絆」(5月公開)、もうひとつは「コーチ・カーター」(夏公開)。

 実話に基づく「プライド」は、高校アメフトのシーズンになると町中がその話題で持ちきりとなる1980年代後半の田舎町を舞台に、敵チームのみならずプレッシャーとも戦う高校生たちの奮闘を描いたもの。選手のガンバリに熱さはあるが、それ以上に町の大人たちのスポーツ・バカっぷりがエキセントリックで興味深い。オラが町の高校が負けたと騒いでは監督の家に投石したり、選手の親は息子をクズあつかいしたり。戦うことで食っているプロならいざ知らず、高校生のガキに何を期待しているんだ、この人たちは…と思わずにいられない。

 そんな思いを、そのまま「コーチ・カーター」のサミュエル・L・ジャクソンふんする主人公が劇中でぶちまけてくれた。こちらはスラムの高校の弱小バスケットボール・チームを立て直すコーチの話で、ちょっと強くなったと思ったら、町中の人たちがいきなり、このチームに期待しだし、ついにはコーチ・サミュエルに“プロと同じことを望むな!”と説教される。「プライド」以来、たまっていた胸のつかえが、ここで晴れた気分に。

 スポーツオンチの自分は、とてもこんな町じゃあ生きてきけないよなあ。ナードとかルーザーとか呼ばれて白眼視されるのが目に見えている。

 それぞれ音楽のことも。前者は1980年代後半という時代を反映し、当時の高校生が好んで聴いていそうなナンバーがズラリ。パーティーのシーンでPOISONなどのハードロック系、ランDMCなどのヒップホップ系ががかかっていた。試合のシーンでは確か、PUBLIC ENEMYも使われていたような。一方の「コーチ・カーター」は現代のスラムということで、やはりヒップホップ中心。こちらは知らないアーティストばかり。R&Bの分野で最近よく名前を聞く新星アシャンティが、ひとりの選手の妊娠してしまった恋人役でスクリーン・デビューしています。

 写真はイギー&ザ・ストゥージズ/IGGY & THE STOOGES、昨年リリースのDVD『Live in Detroit 2003』。「プライド」では試合のシーンで、彼らのおなじみの曲『I WANNA BE YOUR DOG』がフィーチャーされる。イギー・ポップ先生の雄姿がイカすジャケの、このDVDにももちろん収録。これ、なかなか国内盤出ないなあ…と思っていたら、輸入盤ではライヴCDも来月リリースされるようです。

Telluric Chaos

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