どこでもはみだす

gakus2005-06-10

 今週DVD化されたラモーンズのドキュメンタリー「THE END OF CENTURY」。ラモーンズのメンバー間の関わりを描いた、この映画の中でベーシスト、ディー・ディー・ラモーンのヤンチャぶりはひときわ光っている。ルールに則って活動しているラモーンズにあって、“俺は本当はジョニー・サンダース&ハートブレイカーズに入りたかった。ヤクをやりたいから"とのたまい、“パンクじゃなくてラップをやりたい"と言ってラモーンズを抜けるディー・ディー。メチャクチャな人だ。

 そんなディー・ディーにスポットを当てた、もうひとつのドキュメンタリー『Hey Is Dee Dee Home?』も今週、DVDで再リリースされた。これは1992年に撮影されたディー・ディーへのインタビューをもとに、彼と故ジョニー・サンダースとの関わりを見つめたもの。名曲『CHINESE ROCK』誕生秘話に加えて(ジョニー・ラモーンは最初は“麻薬の歌はプレイしたくないと言ったとか)、ディー・ディーとジョニーの葛藤が赤裸々に語られる。『CHINESE ROCK』を誰が作ったかということでジョニーと意見を対立させ、尊台に振舞われたり、物を盗まれたりと、ジョニーに対して複雑な感情を抱いていることを認めるディー・ディー。先の“ハートブレイカーズに入りたかった"発言にも複雑な背景があることがわかる。

 ここでディー・ディーは全身に彫られたタトゥーをアウトサイダーの象徴として誇示する。一度彫ったら死ぬまでアウトサイダーだ、と。そこから、社会に対するアウトサイダーであったのみならず、ラモーンズというコミュニティでもジョニー・サンダースのコミュニティでも、つねにアウトサイダーであったディー・ディー像が見えてくる。ラモーンズマニアとしては、たいへん興味深い作品でした。監督のレック・コワルスキーはパンク・ドキュメンタリー『D.O.A.』を撮った人。

 ジャケはジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズのライブ・アルバム『LIVE AT Max's KANSAS CITY '79』。ヘロヘロの『CHINESE ROCK』収録。

Dee Dee Ramone: Hey Is Dee Dee Home [DVD] [Import]