ダニー・ボーイ

gakus2005-08-19

 9月公開の「シンデレラマン」は、大恐慌時代に、有望なボクサー→物乞い同然の生活→世界チャンピオンという数奇な生をおくった実在のボクサー、ジム・ブラドックの物語。「ビューティフル・マインド」のロン・ハワード監督と主演のラッセル・クロウがコンビを再度コンビを組み、今回も大いに泣かせてくれます。それは置いておいて、この映画で印象に残ったシーンのひとつに、クライマックスのタイトルマッチ直前、控え室で試合を時を待つ主人公の脇で、マネージャー(ポール・ジャマッティ好演!)が寝転がって『ダニー・ボーイ』を鼻歌で歌っている…というのがありました。

 誰もが一度は耳にしたことのある、この名曲。息子を戦地に送り出す母親の心情を歌った歌詞が、そのままマネージャーの心情に重なったかのよう。情感豊かなメロディーも、鼻歌ではあるけれど、どん底からここまで這い上がった…という万感の思いにマッチしている。

 それと『ダニー・ボーイ』はもともとアイルランド生まれのメロディに、詞をつけたものなので、映画ではアイルランド系の心の拠り所のような使われ方をすることが多い。「シンデレラマン」の主人公ジム・ブラドックもアイリッシュ系なので、この部分でもなるほどと思わせる。

 とにかく、多くの映画で『ダニー・ボーイ』は使用されているが、個人的にもっともインパクトが強かったのは「ミラーズ・クロッシング」でのフィーチャー。アルバート・フィニーふんするアイリッシュ系ギャングのボスが深夜、自宅で敵の奇襲に遭いながらも、逃げようとする敵を追ってガウン姿のまま路上に飛び出し、マシンガンを乱射する。仁王立ちの、その堂々たる姿に『ダニー・ボーイ』のメロディが重なる。こんなアクションシーンで、大々的で使われること自体、意表を突かれたというのもあるが、以来『ダニー・ボーイ』を聴くとアルバート・フィニーの雄姿をどうしても思い出してしまう。

 ビング・クロスビーが大ヒットさせたことで有名な、この曲、多くのミュージシャンがカバーしている。自分が持っているものを探してみたら、やっぱりこれか…というわけでSHANE MacGOWAN & THE POPES、1996年リリースの4曲入りEP『CHRISTMAS PARTY』。フジロックを中心とした再結成ポーグス/The Poguesの来日公演で、元気な姿を見せてくれたシェーン。ちょっと太ってはいたが、それでももう観れないと思っていただけに、嬉しかったなあ…。

シンデレラマン [DVD]

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