suck in the 80’s

gakus2005-10-03

 「ジョージ・マイケル/素顔の告白」(12月公開)はタイトルどおりのドキュメンタリーで、スーパースター、ジョージ・マイケルがたどった道のり…生い立ちからワム!の成功、ソロ活動でのステップアップ、現在まで…を年代を追ってたどったもの。ゲイであることやセックス・スキャンダルまでもが赤裸々に語られる。

 ジョージ・マイケル本人にやたらとしゃべらせているので、この映画の存在意義は彼自身の弁明にあるのではないか!?という疑問を抱かずにいられない。ある意味、そんな俺様映画なので、ドキュメンタリー映画としては監督の視点が希薄であるぶん、正直食い足りない。それでも30代ぐらいの観客のノスタルジーをくすぐるのは間違いなく、アンドリュー・リッジリー禿げ上がった姿で登場したり、ボーイ・ジョージが異様なメイクでインタビューに応えたり、ワム!のバックで歌っていたペプシ&シャーリーを久々に拝めるなどの見どころがある。

 それとワム!全盛期を知る者としては、そのビジュアルに改めて接して、懐かしいやら恥ずかしいやら。ビデオクリップやマクセルのカセットテープのCM映像やらを見せられると、踊りにも髪型にも服装にもプッと吹き出してしまいそうになる。いや、当時はコレをファッショナブルと思ってみていたんだよね、みんな。

 MTVに代表されるビジュアル優先の当時の売り方は、モンスター的なセールスに貢献する一方で、マイナスの点も大きいと、改めて思わせる。実際、ワム!の音楽は、今聴いてもブラック・ミュージックのおいしいところをうまく消化していて、かっこいいものが多いが、今となっては薄っぺらいビジュアルのイメージが、その価値を下げているような気がしないでもない。『クラブ・トロピカーナ』のファンキーなグルーヴは今でも古臭く感じないだけどねえ。というわけで、国内盤7インチの同曲のジャケ。この程度なら、まだ可愛げもあるが…。

 あと、いくつか挿入されている彼のビデオクリップに、マーヴィン・ゲイフッテージが多く目についた。ソウルフルな曲の一方で、スタンダードタイプのナンバーもこなしていたのは、60年代のマーヴィンのキャリアと似ているが、ジョージ自身マーヴィンのキャリアを意識していたのだろうか。もっとも、ソウルは売れてスタンダードでは無視されたマーヴィンと違い、ジョージ・マイケルはどちらを歌ってもバカ売れしたんだけど。