薄幸のシャーリズ

gakus2006-01-20

 出先でポッカリ時間が空いたので、シャーリーズ・セロン主演の「スタンドアップ」を観る。シャーリズふんするのは暴力亭主のもとを逃げ出し、炭鉱で働く女性。元々は男社会であった炭鉱という場でモロにセクハラ行為を受けまくり、法廷で争うことになる、そんな彼女の苦闘を、これでもかというほどの被害者的立場の強調で描いたドラマは、明確なメッセージを伝える社会派映画としてはアリかもしれないけれど、時間つぶしに観るには少々ツラいものがありました。

 あまり予備知識なしで観たけれど、シャーリズに加えてフランシス・マクトーマンド、シシー・スペイセクというアカデミー賞アクトレス3人が共演しているなど、見どころは結構ある。シシー・スペイセクはシャーリズの母親役だが、“炭鉱夫の娘の娘は炭鉱夫か…"などと妙なつながりを感じたり、ヒロインの初体験の相手がジェフリー・ダーマー(を演じていた人)で“こりゃ悪いヤツだ"と思ったら本当にそうだったり、本来なら悪役をやりそうなショーン・ビーンがいい人役をやっていたり、法廷シーンでは双方弁護士の異議をどういう基準で却下・許可してるのか判然としない裁判長が登場したりと、ツッコミ入れつつそれなりに楽しんだのも事実。

 「NORTH COUNTRY」という原題から何となく予想していたが、ボブ・ディランのナンバーが意外に多く起用されている。カラオケ・パブみたいなお店のチークタイムで、誰かが『LAY LADY LAY』を気持ちよさそうに歌っており、映画の後半では『DO RIGHT TO ME BABY』をフィーチャー、エンディングでは『SWEETHEART LIKE YOU』と、CAT POWERなる人のカバーで『PATHS OF VICTORY』が流れる。エンドクレジットによると『GIRL FROM NORTH COUNTRY』も使われていたようだが、これは気づかず。

 ヒロインに語りかけるように歌われる『SWEETHEART LIKE YOU』を収録した1983年のアルバム『INFIDELS』のジャケをピックアップ。この曲、シングルとしてリリースされたときはトップ40にさえ入らなかったのに、今では名曲のひとつとして評価されている。いい曲は時の流れに負けないんですなあ。それにしても最近ディラン・ネタの多いこと…。

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