味なUSインディーズ

gakus2006-05-09

さよなら、僕らの夏」(6月公開)は、サンダンス映画祭で高く評価された良質の青春映画。派手さはないが、ローティーンの善意と悪意の2面性や、仲間内でのパワー・バランスがリアルに描かれ、好感が持てた。

 物語は、イジメに悩まされる少年が兄に悩みを打ち明けたことから始まる。兄は友人たちとイジメっ子を懲らしめる策を練り、弟やその友人との川下りの冒険にいじめっ子を誘い出した。ところがこのイジメっ子、意外に優しいところもあり、計画は一時中止かと思われたが…。

 子供たちの繊細さに寄り添うように、ソフトなUSインディーズ系アーティストのナンバーをフィーチャー。弟がベッドルームで兄に悩みを打ち明けるシーンではJOHN GOLDの『SOUND AND LIGHT』が優しく鳴り響き、彼らが電話でイジメっ子を川下りに誘うシーンではEELSの『MENTAL』がいたずらっぽく鳴っている。出発の車中ではDEATH CAB FOR CUTIE『THE SOUND OF SETTLING』が流れ、“パッパー”のコーラスが行楽に浮き足立つ気持ちを伝える。続けてカーステレオからかかるWILCO『POT KETTLE BLACK』のアコースティックでリズミカルな空気感も気持ちよい。しかし、この後、悲劇的な展開に突入するゆえに、明るい曲はここまで。後半のシンミリ聴かせるナンバーも味アリ。

 ジャケはDEATH CAB FOR CUTIE、2004年リリースのシングル『THE SOUND OF SETTLING』。表題曲もいいけれど、7インチのB面に収められたTHE SMITHSのパンキッシッシュなカバー『THIS CHARMING MAN』も最高。ちなみにデス・キャブ、最新シングル『CROOKED TEETH』のB面ではJULIAN COPE『WORLD SHUT YOUR MOUTH』のカバーもやっています。

さよなら、僕らの夏 [DVD]

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