余計だった章

gakus2007-09-07

 昨日に続いてジョン・レノン関連作を。やはり12月に公開される『チャプター27』は、ジョン・レノンを殺害したマーク・チャップマンの、犯行におよぶまでの3日間に迫ったドラマ。ジャレッド・レトが30キロも体重を増やしてチャプマンを演じている。

 ジョン・レノンを殺害するためにハワイからニューヨークへやってきたチャップマンは、もともとはビートルズの大ファンで、ジョンの曲は自分のことを歌っていると思ったほど。しかし、一方で小説『ライ麦畑でつかまえて』に心酔し、その主人公を気取って、“IMAGINE”を歌いながらも豪勢な暮らしをおくっているジョンを“インチキ"と決めつけている。愛と憎悪の狭間で揺れ続ける3日間。この映画は、まさにその一点のみにフォーカスしており、異様な緊張感が全編にみなぎっている。ある意味サイコスリラー。

 ちなみにタイトルは『ライ麦畑でつかまえて』の全26章の、さらに続きという意味。自分は学生のころこの小説を読み、ほとんど何も感慨を受けなかったのだが、まあ、それは置いておくとして、確かこの話も主人公が3日間ほどニューヨークをさすらう物語だったような記憶がある。

 昨日記したとおり、内容が内容なので許可が下りなかったのか、ジョンの曲は一曲も使われておらず。それでも、ビートルズ・ファンからしてみたら絶対悪であるチャップマンの内面を描ききった点は評価されていいと思う。監督のJ・P・シェファーは27歳で、ジョンが亡くなったときは1歳だったという。あの事件を客観的に見ることができる世代だからこそ、作れた映画なのかもしれない。

 さて3日間ジョンの住むダコタハウスに張り込むチャップマン。そこで出会ったリンジー・ローハンふんするジョンのファンの女の子と意気投合して、『ダブル・ファンタジー』の裏ジャケの写真になっている、ジョンとヨーコの立ち位置に一緒に並んで立ってみたりする。感慨に浸りすぎているチャップマンの姿が、これまたサイコな感じ。

 ジャケはその『DOUBLE FANTASY』の裏ジャケ。リンジーの友人の女の子が、このアルバムを評して“傑作。欠点がない”などと言っていたが、異論があるのは自分だけではないと思う。