帰ってきた!

gakus2009-01-21

 俺たちのイーストウッドが帰って来た!と思わずにはいられない『グラン・トリノ』(4月公開)。監督とともに主演を兼ねるのは『ミリオンダラー・ベイビー』以来4年ぶり。監督に専念した『チェンジリング』も確かに良い映画だが、自分はこんな"俳優"イーストウッドが本当に見たかったんだよ!

 イーストウッドふんする主人公は、1950年代で思考が停止してしまったかのような頑固オヤジ。朝鮮戦争に出征した際の忌まわしい記憶に苛まれ、実の息子さえサジを投げている。人種偏見も甚だしい。ある日、彼の愛車グラン・トリノが、隣家のアジア系一家の息子に盗まれそうになる。これを阻止したイーストウッドは、ひょんなことからこの少年に"男”的な生き方を伝授することになる…。

 『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』の贖罪意識、『センチメンタル・アドベンチャー』のような疑似親子的関係、『ハートブレイク・リッジ』『ルーキー』における人生の先輩像、『スペース・カウボーイ』『ブラッドワーク』の老いの自覚、『恐怖のメロディ』『ダーティファイター』にも通じる女性に対する畏怖、そして『ガントレット』『トゥルー・クライム』にも似たダメ男像。本作を最後に俳優業を引退すると宣言したイーストウッドの、ある意味、集大成。そんな思い入れ抜きにしてもラストは男泣きだ!

 しかも御大はエンディングのテーマ曲も作曲するほどの活躍ぶり。共同作曲者のシンガーソングライター、JAMIE CULLUMがこの歌を歌っているんだけど、これが作品のテーマに迫る内容で、感涙に拍車をかける。

 この映画に関しては、まだ冷静になれないな。とりあえず、ジェイミー・カラムの近作で2006年リリースの『CATCHING TALES』のジャケをのっけとく。この人に関する知識は皆無に等しいんだけど、聴いてみてもいいかな、という気がしてきた。

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