違い過ぎた一日

gakus2009-12-28

気が付けば全米の賞レースもたけなわですが、意外だったのはピーター・ジャクソンの新作『ラブリーボーン』(1月公開)が無視されていること。個人的にはシミる映画だったが…。

 1973年、14歳のスージは近所に住む変質者に殺害された。彼女は最愛の家族のことが心配で、天国の入り口でウロウロしている。一方の家族は彼女の死からなかなか立ち直れない。そうこうしているうちに、スージーの妹にも変質者の魔の手が迫り…。ピージャク作品としては『乙女の祈り』+『さまよう魂たち』といった雰囲気で、ドラマとファンタジー、サスペンスの絶妙の配合が光る。原作小説もガッツリきたが、その良きエッセンスを汲み取っている点は『ロード・オブ・ザ・リング』にも通じる。

 音楽は、やはり舞台となる70年代の曲。印象に残ったのは、スージーが殺される日の朝、一家の食卓で流れていたポール・マッカートニー"ANOTHER DAY"。”あの娘のいつもと変わらない一日が始まる”というフレーズは、あまりに皮肉。いつもとは恐ろしいほど変わり過ぎた一日だ。

 他ではデイヴ・エドモンズののどかなサウンドも70年代の雰囲気が出ていた。それと70年代の曲ではないけれど、コクトー・ツインズの神秘的なナンバーもあの世とこの世を行き来する物語にハマッている。

 ジャケは1971年のヒット曲、PAUL McCARTNEY、”ANOTHER DAY"の国内盤7インチ。